大きな買い物には、大きな討伐
ハチワレはカメラが欲しくて、手元のお金を数え、ため息をつきます。それから、おっきい討伐、とつぶやいて、がんばろうと自分に言います。
最後のコマでは、討伐、草むしり、シール貼りを指折り数えています。いくら要るのか、いくらもらえるのかは、どこにも描かれていません。
大きな買い物のために、まず大きな討伐を考える。大きな相手ほど、たくさんもらえる。ハチワレはそう考えているように見えます。危ない仕事だから、多くもらえる。最初はそう思っていました。
危なさには、お金ではない備えがある
おっきい討伐の日、ちいかわたちはプロペラのついた道具につかまれて、空を運ばれていきます。
怖くなって泣くちいかわに、ハチワレは、だめそうならリタイアすればいい、終わったら迎えに来てくれると話します。
結局、相手は逃げてしまいます。うさぎが合図を打ち上げ、迎えの道具がやって来ます。まだ早かったみたい、という声が出ます。報酬を受け取る場面はありません。
いちばん危なそうな仕事に用意されていたのは、送り迎えと、途中でやめる道でした。危ない分を多く払う前に、危なさそのものを小さくする仕組みがある。危ないから高い、という考えが、ここで少し揺らぎました。
危険草の上乗せは、何への支払い?
草むしりのあと、窓口の鎧さんは、Eのエリアにはないはずの危険な草が混じっていたと話します。放っておけば一帯が傷んでいた。だから今回は報酬を上げると言って、大きな袋を置きます。
いつもの草むしりなのに、袋は大きくなりました。けれど、上げる理由として語られるのは、ハチワレがどれだけ危なかったかではありません。エリア一帯が守られたことです。
報酬が向いているのは、働いた人がどれだけ危なかったかより、どれだけ被害を防げたかのほうみたいです。
袋を持たずに帰る日
網脂に包まれた日も、じゃんけんで負けて放り投げられた日も、ハチワレは討伐に失敗したと話して終わります。そのコマで、隣のちいかわは小さな袋を持っています。ハチワレの手には、何もありません。
ちいかわは砂の穴に落ちながらも、角のある相手を倒します。報酬の袋を受け取って、ほっとした顔をします。
同じ日に、袋を持つ人と、持たない人が並んでいます。ちいかわがその日に何をして袋を得たのかは、このコマからはわかりません。失敗した日に本当に何ももらえないのかも、描かれていません。ただ、網脂に包まれても、放り投げられても、その分の袋は出てきません。怖さのほうは、働いた人がそのまま持ち帰っているように見えます。
「報酬」のコマは、どれも似ている
ちいかわが砂の穴で角のある相手を倒した回にも、5級をとってからの草むしりの回にも、報酬と書かれたコマがあります。どちらにも口を結んだ袋がひとつ描かれ、形も、コマの中での大きさも、ほとんど変わりません。草むしりの袋には、チャリ…という小さな音がついています。
ラッコがハチワレに渡した分け前は、同じ報酬のコマに、左右にふくらんだ袋として描かれます。添えられた音は、ドッチャリです。
漫画のコマを見た感じだと、ふつうの討伐と草むしりの報酬に、大きな差はなさそうです。袋が大きく見えるのは、仕事の種類が変わったときではありません。大きな相手を倒したときと、危険草から一帯が守られたときです。袋の絵は金額ではないので、額の差まではわかりません。それでも、危ない仕事だから袋が大きい、という描き方はされていません。
島の回では、報酬の倍率が数字で出てきます。空から降ってきたチラシに、島でのカンタンな討伐で100倍の報酬をもらおう、と書かれていました。
島に着くと、報酬ははじめからなかったとわかります。力になってほしくてチラシを撒いた、という話になり、特産品の詰め合わせが報酬のかわりとして示されます。セイレーンとの戦いが終わった宴の席では、じつは100倍の報酬もあてにして来ていた、という声が出ます。
報酬の倍率が数字で出てくるのは、見たかぎりではこのチラシだけです。その倍率は、危ない討伐ではなく、カンタンな討伐に付けられていました。そして、そのあとに待っていたセイレーンとの戦いに、その倍率は払われていません。ここでも、危なさと袋の大きさはつながっていません。
お金が払うもの、お金以外が守るもの
報酬は、倒した相手の大きさや、防げた被害に払われる。危なさのほうは、送り迎えやリタイア、仲間の手で小さくされる。場面を並べると、そんなふうに見えてきます。
もちろん、大きな相手ほど危ないので、二つは原作の中でははっきり分けられません。窓口がどんな決まりで額を決めているのかも、描かれていません。
それでも、危ないから高い、の一言では、危険草の上乗せも、ラッコの分け前も、似たような報酬のコマも説明しきれません。次に討伐の回を読むときは、袋が大きくなった理由が、誰の口から、何として語られるかを見てみてください。