売っているものが稼働率なら、自分の稼働記録は製品説明の一部だ
監視サービスを選ぶとき、機能表を見比べても差はあまり出ない。どこも死活監視をして、落ちたら通知する。
差が出るのは、その会社自身が落ちないかどうかのほうだ。
そこで9社の status page を回って、障害履歴を機械が読める形で取れるかを試した。結果は1社だった。
9社の内訳
| 会社 | 障害履歴の取得 |
|---|---|
| Better Stack | RSS で取得できた。44件、2023年2月まで遡れる |
| UptimeRobot | フィードはある。ただし robots.txt が塞いでいる(後述) |
| Oh Dear | RSS はあるが中身が0件。ページ自体も直近7日ぶんしか出さない |
| Cronitor | JavaScript でしか描画されない |
| Healthchecks.io | 機械可読なフィードなし |
| Checkly | 同上 |
| Pingdom | 同上 |
| StatusCake | 同上 |
| updown.io | API が 400 を返す |
どこも人間が読む status page は持っている。だから「隠している」という話ではない。
取れないのは、比較できる形になっていないということだ。
自社の robots.txt が自社のフィードを塞いでいる
UptimeRobot は障害履歴のフィードを持っている。場所はここだ。
https://status.uptimerobot.com/api/getEventFeed/…
そして同じホストの robots.txt がこうなっている。
User-agent: *
Disallow: /api/
フィードは /api/ の下にある。自分で置いたフィードを、自分で書いた robots.txt が塞いでいる。
おそらく管理APIを守るつもりで書いた1行が、公開用のフィードまで巻き込んでいる。悪意ではなく事故だと思う。ただ、規約を守って巡回する側から見れば、フィードは無いのと同じになる。
Cronitor は自社の status を競合の上で動かしている
もうひとつ気づいたことがある。
status.cronitor.io を開くと、ページは Hyperping で作られている。Hyperping は監視と status page を提供している会社で、Cronitor と同じ市場にいる。
自社製品で自社の status page を作らない理由はいくつも考えられる。監視対象と監視する側は分けたほうがいい、という真っ当な理由もある。実際、自分の障害を自分の監視で検知して自分の status page に出す構成は、全部同時に落ちる。
それでも、稼働監視の会社が競合の稼働監視を使っているという事実は、それ自体が情報だとは思う。
件数で比べてはいけない
この手の比較でいちばんやってはいけないのが、障害件数をそのまま並べることだ。
フィードが返す件数には上限がある。参考までに、監視以外で追跡している会社も含めて見ると、Linear と Notion は25件ちょうどで打ち切られていた。上限に張り付いている。一方 Better Stack は44件、Plausible は49件で、どちらも上限の宣言がない。
25件しか見えない会社は、3年分見える会社より障害が少ないわけではない。見える範囲が狭いだけだ。
この猫の追跡では、フィードが上限で打ち切られているのか、期間で区切られているのかを毎回記録している。それが無いと、記録の浅い会社ほど優秀に見えてしまう。
価格は遡れる。稼働は遡れない
料金ページは Internet Archive に何年ぶんも保存されている。だから過去の値上げは後からでも復元できる。実際このサイトはそれをやっている。
障害履歴は違った。
status.betterstack.com/feed.rss も status.plausible.io/feed.rss も、アーカイブにキャプチャが1件もない。誰も保存していない。Better Stack の3年半ぶんは、過去を掘って集めたものではなく、今日1回叩いたら返ってきたものだ。
つまり、いま公開されていない障害履歴は、後から取り戻せない。フィードを畳んだ会社の過去は、その時点で消える。
この猫が今日から毎日保存を始めた理由がそこにある。
確認できていないこと
各社の障害の深刻度と継続時間は比べていない。フィードから安定して取れたのが件数と日付までで、深刻度の表記は会社ごとにばらばらだった。「何回落ちたか」より「どれくらい落ちたか」のほうが選ぶ側には効くので、ここは今後の課題として残している。
また、機械可読なフィードが無い会社について、人間が読む status page に何が書いてあるかは読んでいない。読めば分かることと、継続的に比較できることは別なので、この記事では後者だけを扱っている。
出典
各社の公式 status page とその robots.txt を、2026年8月に直接取得して確認した。
- Better Stack Status
- UptimeRobot Status / robots.txt
- Oh Dear Status
- Cronitor Status
- Healthchecks.io Status
- Checkly Status
- Pingdom Status
- StatusCake Status
- updown.io Status
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