プラン名が全部変わると、比較する手がかりが消える

2026年8月、サイト監視サービスの Oh Dear が料金体系を組み替えた。

Mini / Standard / Plus / Pro / Enterprise / Premium の6プランが、Solo / Freelance / Studio / Agency / Agency Plus / Portfolio / Portfolio Plus / Scale の8プランになっている。

名前がひとつも残っていない。Standard がいくらだったか覚えていても、対応するプランが分からない。

ただ、この会社は比較に必要な条件を自分で用意してくれていた。

軸が1本しかないので、厳密に比べられる

旧料金ページにはこう書いてある。

Same features, every plan. Pick your size.

全プランで機能は同じ、選ぶのはサイズだけ。つまりプランを分けているのは監視できるサイト数だけで、他の変数がない。

ならばサイト数を揃えて価格を並べればいい。名前が変わっていても、10サイトは10サイトだ。

注意すべきは請求サイクルのほうだった。このページは月払いと年払いで違う数字を出す。片方を月払い、もう片方を年払いで比べると、実際とは違う変化率が出てしまう。

同じサイト数で並べた結果

料金ページには JSON-LD で価格が構造化されて埋まっている。月払いと年払いが別々の値として入っているので、軸を取り違えずに比較できる。

月払いどうしで並べる。

サイト数2026-07-032026-08-04変化
10Standard €25Freelance €49+96%
25Plus €50Studio €99+98%
50Pro €80Agency €149+86%
100Enterprise €140Portfolio €249+78%
200Premium €220Scale €399+81%

年払いどうしでも並べておく。こちらは年額である。

サイト数2026-07-032026-08-04変化
10€275€490+78%
25€550€990+80%
50€880€1,490+69%
100€1,540€2,490+62%

月払いで8〜9割、年払いで6〜8割。年払いのほうが上げ幅が小さいのは、無料月が1ヶ月から2ヶ月に増えたためだ。

新設された Agency Plus(75サイト €199)、Portfolio Plus(150サイト €329)は旧体系に対応がない上位の刻みで、プラン数が6から8に増えたのは主にこの追加による。

入り口はもっと分かりにくい

最安プランの変化がいちばん読み取りにくかった。

旧 Mini は5サイトで月 €15。新 Solo は2サイトで月 €15。月額は1セントも動いていない。

年払いに至っては €165 から €150 へ下がっている。無料月が増えたぶん、年額は安くなった。

減ったのはサイト数のほうで、5から2になった。3サイトを見ていた利用者はもう収まらない。次の段は10サイトの月 €49 なので、€15 から €49 への移動になる。

価格表の数字だけを見ると、この段は据え置きか値下げに見える。

再パッケージは、値上げの最も静かな形だ

価格を上げれば「前は €25 だった」と言える。プランを消して別の名前で作り直すと、その一文が言えなくなる。

比較の起点が消えるからだ。Standard はもう存在しないので、Standard が値上がりしたとは言えない。Freelance は新しいプランなので、値上がりのしようがない。どちらの言い分も間違っていない。それでも同じ10サイトの月額は €25 から €49 になっている。

Oh Dear が何かを隠したと言うつもりはない。プラン体系の見直し自体はどの会社もやるし、上位の刻みを増やしたのは大口の顧客には合理的だろう。年払いの無料月を増やしてもいる。

ただ、名前を全部入れ替える改定に出くわしたときは、名前ではなく数量で並べ直したほうがいい。そして並べるときは、請求サイクルを揃える。

新旧のプラン名を突き合わせても、何も分からない。

出典

数値はすべて Internet Archive に保存された Oh Dear 公式の料金ページから読み出した。価格は本文の表示ではなく、ページに埋め込まれた JSON-LD の priceSpecification を使っている。月払いと年払いが別々の値として入っているため、軸を取り違えずに比較できる。

改定日は2つのスナップショットのあいだまでしか絞れていない。

訂正(2026-08-24): 公開当初、旧プランを年払いの月額換算、新プランを月払いで比較しており、変化を +95〜123% と過大に記載していた。異なる請求サイクルを突き合わせた誤りである。JSON-LD から両方の軸を取り直して全面的に修正した。

公式が公開している料金と提供内容という事実のみを扱っている。利用者の投稿やレビューは使っていない。


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