この猫の機械は、これを値上げとして記録していた

毎日料金ページを保存している仕組みが、Figma について1件の差分を出していた。

professional      $12  削除

professional-team $15 追加

同じ通貨、同じ月額、同じ USD-monthly。素直に読めば25%の値上げになる。

読まなくてよかった。値上げは起きていない。

アスタリスクが1つ付いていた

2024年6月6日のページには、こう書いてある。

Professional $12 /mo\*

末尾のアスタリスクの中身が、ページの下のほうにある。

\*Professional also available for $15 /seat, billed month-to-month.

つまり表に出ている $12 は年払いの月額で、月払いなら $15 だった、ということになる。

2024年7月6日のページはこうだ。

Professional Team $15 /full seat/mo

Save 20% when billed annually

$15 の20%引きは $12 である。

軸を揃えて並べる

2024-06-062024-07-06
月払いの月額$15$15
年払いの月額$12$12
表に出している数字$12(年払い)$15(月払い)

金額はどちらの軸でも1セントも動いていない。動いたのは、2つあるうちのどちらを既定で見せるか、である。

上位プランも見ておく。

2024-06-062024-07-06
StarterFreeFree
Organization$45 /mo$45 /full seat/mo(Billed annually)
Enterprise$75 /mo$75 /full seat/mo(Billed annually)

こちらは数字も表示も同じで、請求サイクルの表記が明示されただけだった。以前は「/mo」としか書かれていなかったものが「Billed annually」と添えられている。

普通は逆をやる

このサイトで扱ってきたのは、支払いが増えるのに表示は増えない改定ばかりだった。

Plausible は $9 を $9 のまま、見られるサイトを10個から1個にした。Oh Dear はプラン名を全部入れ替えて、同じサイト数の月額を倍近くにした。Postmark は表示価格を73%下げて、1通あたりを上げた。

どれも、表に出ている数字が実態より優しく見える方向に動いている。

Figma のこれは逆になる。実態は何も変わっていないのに、表に出ている数字が25%高く見える方向へ動いた。

年払いの月額を大きく出すのは、SaaS の料金ページではごく普通の見せ方だ。それをやめて月払いを既定にしたのだから、割安に見せる努力を1段やめたことになる。同時に「/full seat/mo」という単位を書き足していて、こちらも1人あたりであることを明示する方向だ。

読み手に厳しくなる変更を、わざわざする理由はあまりない。

そして機械は間違えた

正直に書いておくと、この猫の抽出器はアスタリスクの脚注を読んでいない。

読んだのは「Professional $12」と「Professional Team $15」だけで、どちらも月払いの月額だと解釈して保存した。だから差分は25%の値上げとして残っている。

記事にする前にアーカイブのページを開いて、脚注まで読んだので止まった。止まらなければ、他社の値上げを検証しているサイトが、起きていない値上げを書くところだった。

保存された行は、そのまま記事にできない。 このサイトでは同じ形の間違いを何度もやっていて、これで7件目になる。差分は候補であって結論ではない、というのが今のところの結論になる。

翌年、単位そのものが変わっている

もう1つ、この記事では扱いきれない変化がある。

2025年3月1日のページには Professional Team / Organization / Enterprise が並んでいる。次に保存できたのが2026年4月9日で、そこでは Full seat $16 / Dev seat $12 / Collab seat $3 という座席の種類に変わっていた。

プランで階層を分けるのをやめて、席の種類で分ける方式になっている。Netlify がクレジットに変えたときと同じで、単位が変わると前後を並べられなくなる。$45 の Organization と $16 の Full seat は、比べられる数字ではない。

何人がどの席を必要とするかで支払いが決まるので、実質どうなったかは組織ごとに違う。ここで一つの答えは出せない。

確認できていないこと

座席方式への移行がいつ起きたかを絞れていない。2025年3月1日と2026年4月9日のあいだ、13ヶ月の幅しかない。この区間に保存されたページを取得できていないためで、日付を書けるだけの根拠がない。

各座席に何が含まれるかも突き合わせていない。旧プランと新座席の機能対応は料金ページの比較表にあるが、保存されたページから確実に読み出せなかった。推測で埋めると、この記事が指摘しているのと同じ間違いになる。

2024年の改定についても、Professional 以外のプランに脚注が付いていたかどうかは確認していない。Organization と Enterprise は数字が同じだったので、そこで止めている。

脚注まで読む

価格を比べるときに要るのは、金額と、その金額がどの条件のものかという情報の2つで、後者はたいてい小さい字で書いてある。

年払いの月額と月払いの月額を取り違えると、この件のように25%ずれる。Oh Dear では95%と78%の差になった。どちらも、金額そのものは正しく読めている。

料金ページを見比べるなら、まずアスタリスクを探すほうが早い。

出典

数値はすべて Internet Archive に保存された Figma 公式の料金ページから読み出した。プラン名・金額・単位の表記・脚注を直接確認している。

表示の切り替えが起きた日は、2024年6月6日から7月6日のあいだまでしか絞れていない。

公式が公開している料金と提供内容という事実のみを扱っている。利用者の投稿やレビューは使っていない。